いつの時代もファッションを語る上で欠かすことのできないジーンズ。
ジーンズは年代が変わるごとにアップデートを繰り返されてきました。
ストレートジーンズにワイドジーンズ、タイトジーンズ、スキニージーンズ、ブーツカット、シューカット。
これまでのファッション業界を支えてきたキングオブアイテム。
それがジーンズだ。
今ではファストファッション全盛期を迎え、かっこいいジーンズが安価に手に入る時代。
どんな人でもかっこいいイマドキのジーンズが手に入ることは個人的にもファッションを楽しめるし良いことだと思う。
その代わり安価に手に入りやすくなった分、これまでのジーンズへの考え方が少し「軽く」なったのではないか?とも思います。
ジーンズは経年変化を楽しみ、良き相棒となり、唯一無二の自分だけの芸術作品を作り上げる楽しさがあったはずだ。
「このジーンズの膝のダメージ、子供が小さいときに引っ張られて大きくなったんだよね!」
「ここのシミはさ、酔いつぶれたときに派手に転んじゃってついた汚れなんだよ!」
そう、ジーンズってのは自分の人生を振り返るための一つの思い出になりえる。
そこで今回、ジーンズの価値を決定するうえで重要な「染料」について考えたい。
この記事を読んでいただければ、これからのジーンズとの向き合い方が少しだけ変わるかもしれません。
デニムの風合いを決めるインディゴという染料
ジーンズが少しでも好きなら一度は聞いたことがあるだろう「インディゴ」。
実はこのインディゴの質によってジーンズの価値を高めているものが存在します。
まずはこのインディゴって一体なんなの?ってところから話します。
インディゴって何?
藍(あい)。
藍染(あいぞめ)っていう単語を耳にすることがあるかと思いますが、その藍染めの原料こそがインディゴです。
タデアイという植物の葉を発酵させて染料としたものを、むかーし昔から使用されていたようです。
一時期インド産のものが主流だったこともありインディゴと呼ばれるのが一般的になったんだとか。
ここで、一言にインディゴといっても手間がかかるインディゴと安価で簡単に手にはいるインディゴが実はあるのです。
合成インディゴと天然インディゴ
インディゴにも製法によって大きく2つに分けられます。
それが合成インディゴと天然インディゴ。
それぞれの違いについてみていきましょう。
合成インディゴ
その名の通り化学により合成されたインディゴです。
ちゃんと構造式もあります。
1988年頃にインディゴが合成され安価で手に入りやすく一般的に使用されるようになりました。
つまり現在のデニム生地のほとんどが合成インディゴです。
高級ブランドでもファストファッションでも、ほとんど合成インディゴで染色されたデニム生地を使用しております。
特徴としては合成インディゴの別名である「ピュアインディゴ」という名前から簡単に理解できます。
ピュア、つまり純粋なんです。
混じりっけ無しの100%インディゴです。
なので発色がきれいなインディゴブルーを実現できます。
天然インディゴ
天然インディゴ(天然藍)は、これまたその名の通り植物から抽出したインディゴになります。
細かい製法は職人さんではないので割愛しますが、合成インディゴに比べて非常に「職人技」がいるとのこと。
天然の成分なので全く同じクオリティーにすること自体が難しく、合成品のように混じりっけ無しというわけにはいかないからです。
つまり天然インディゴは「不純物」が含まれます。
しかし、この不純物こそがジーンズを語る上で必要不可欠な要因の1になるのです。
不純物が多い、つまり100%きれいなブルーではない。
ですので遠目で見れば完全に「ブルー」なのだけれでも合成品とくらべれば「深みのあるブルー」に仕上がります。
単にブルーといっても不純物により若干の見る角度による独特の深みを楽しめる、ということです。
合成インディゴと天然インディゴどちらがいい?
結論から言うと、どちらでもいいです。笑
いえ、厳密にいうとファッションとしてデニムを楽しむのならどちらでもいい、というのが結論で、所有する満足でいったら天然インディゴでしょう。
天然インディゴとわかったうえで育てるジーンズはこれ以上ない喜びを与えてくれるアイテムになることは間違いありません。
なぜなら、天然インディゴは合成品と違い大量生産が難しく、職人による魂が込められているからです。
また天然インディゴは染めの工程から非常に色落ちがしにくく長持ちするといわれています。
経年変化を楽しむにはうってつけですね。
ただし職人による行程がある以上、価格も安くはだせません。
決して安くはありませんが高級ブランドの合成品より、職人さんが丹精込めて作り上げた天然モノを高いお金を出して所有する、というのは男のロマンが感じられないでしょうか?
そうです、天然インディゴのジーンズを身に着けることはファッションを通り越したロマンがあるのです。
ここまで知ると天然インディゴ欲しくなりませんか?
ちなみに現在天然インディゴを手に入れる方法は限られています。
古着で1988年以前のデニムを手に入れるか、現在でも数少ない天然インディゴでジーンズを生産している商品を手に入れるかの2択になります。
新品でかつ、自分好みのデザインを探すのは困難なうえ元手が必要になります。
そこでおすすめしたいのが、usedになります。
リーバイス501の年代によるインディゴの質について
合成インディゴが登場したのは1988年頃と言われています。
つまり1988年以前のモデルを手にいれることができればOKということです。
リーバイス501の66モデル前期までが天然インディゴを楽しめる最後のモデルと言われています。
もちろん66モデルの前のビッグE、501XXも天然インディゴです。
しかしそこまで来ると価格帯が逆に高くなってしまいます。
そもそも出会えない可能性もあります。
おすすめはリーバイス501、66モデルの前期ということになります。
501自体はなんのクセもなく今でも逆に新鮮なほどのスタイルを作ってくれる神アイテムです。
天然インディゴで、かつ欲しいデザインのものが生産されていなければ選択肢の一つに入れてもいいかもしれません。
ここまで語っておいてリーバイス501のレアものの所有者でもなんでもありませんが、どうしてもインディゴの質についてお伝えしたく501の話を盛り込んでしました。
詳しい66期の前期のモデルの見分け方についてはYouTubeで、詳しい方が動画をアップしていると思いますので検索してみてください。